ゆるっと。

マイペースなヲタクの独り言

140709 『太陽2068』 観劇メモ ~女優・前田敦子に会った日~

ー6年越しの夢叶いようやく会えた「あっちゃん」は、

 立派な「女優・前田敦子」でしたー

 

今でこそ完全なるハロヲタの私ですが、モーニング娘。黄金期と共に過ごした小学生以来、しばらくはアイドルから離れていました。黄金期は言ってみれば、「モーニング娘。を好きなのは当たり前」という時代。コンサートやイベントに行ったことも無かったので、当時は自分がアイドルヲタクだという意識なんてありませんでした。(もっとも、大人になった今、同世代と昔の話をしてみると、どうやらいわゆる「一般人」よりはのめり込んでいたみたいですが。笑)

 

地方在住だった上にPCを自由に使える環境でもなかったので、娘。が全国ネットで見られなくなってからは、アイドルに触れること自体がほとんどなくなりました。(アイドルなんて)と思っていた時期すらありました。

 

そんな私をドルヲタの道へと導いた人物こそ、他でもないAKB48前田敦子その人でした。『BINGO!』MVのキラキラ輝く笑顔に一発でやられました。それこそ、「訳なんて何もない。紹介された瞬間、稲妻に撃たれたの。」状態でした。ちなみに今でも『BINGO!』は大好きです。この曲とMVが自分のアイドルヲタとしての原点だと思ってます。

 

まあそれはさておき。とにかくその出会い以来、いつかあっちゃんに会うことを夢見て地方在宅ヲタとして応援し続けていました。ところがようやく上京して(さあこれから劇場に行きまくるぞ)と思ったその日にあっちゃんが卒業発表。私もしばらくしてハローに出戻って、結局、生であっちゃんを一目見ることすら出来ないままになっていました。

 

そんな感じで過ごしていたところに、いつも一緒に現場に行ってくれているヲタ友から今回の舞台に誘われました。(ちなみに6年前、AKBを教えてくれたのも彼女でした。笑)正直、ハロー以外に対しては財布の紐がすっかり固くなっていましたが、あっちゃんに会える、あっちゃん初舞台、豪華な共演者、そして何より巨匠蜷川幸雄の演出という、この上ない好条件に背中を押されました。

 

こうして、「アイドル・あっちゃん」との画面越しの初対面から6年の時を経て、「女優・前田敦子」の初舞台を観に行くことになった次第でありました。

 

※以下ネタバレを含みますので、気になる方は読まないことをお勧めします。

 

 

 

◇チラシ掲載ストーリー◇

 

ー昼と夜に、別れてしまった未来。ー

バイオテロにより拡散したウイルスにより、強く若い肉体を長く維持し、高い知能を得た半面、紫外線に弱く太陽光の下では活動できない体質に変異した人間「ノクス」と、古くなってしまった普通の人間「キュリオ」が共存する社会。

"ある事件"をきっかけに、二分された人間と世界が動き始めていく―。

果たしてそこに、人はどんな希望を見るのかー?

 

あっちゃんの役は、結というキュリオの女性。主人公との絡みも多く、物語を動かすとても重要な役どころでした。(あ、ハロヲタの方が読まれると誤解されちゃうかもですが、「むすぶ」ちゃんではなく「ゆい」ちゃんですよ☆←)

 

多くのキュリオが夢見る「ノクスになるチャンス」を目の前にしてもなお、キュリオのままでいることを望んでいた結でしたが、最終的には自分の意志でノクスになることを選びます。ノクスになった結は妙に明るく、そして以前より少し饒舌になりました。

 

一方、綾野剛くん演じる鉄彦は、もともとはノクスになることを切望していました。しかし、ノクスでありながらキュリオに憧れる友人、森繁(成宮寛貴くん)の説得を聞き、さらにノクスになった結の変貌を目の当たりにして、結局はキュリオとして生きることを選びます。

 

(望まぬものに与えられ、望む者は手に入れられない・・・何だかどこかで聞いたような構図だなあ)と記憶を探る間もなく、『リリウム』が頭をよぎったことは言うまでもありません(笑)生まれた時からノクスである森繁がキュリオに憧れを抱いていて、キュリオの鉄彦がノクスになりたいと願うというところでは、望む者/望まざる者の構図は『リリウム』と同じです。ディテールは違うところが多いですけど。『太陽2068』においては、両者はどちらにしても結局は無いものねだり。

 

最後は、鉄彦と森繁はお互い足りない部分を補いながら共生するという、かなり救いのある結末に落ち着いてとても安心しました。これで鉄彦がノクスになって森繁が発狂、とかだったら『リリウム』の二の舞になるところだったー(笑)

 

(そういえば、観劇経験が浅いので知らなかったのですが、舞台では笑いどころを作るのは当たり前?なんですね。『リリウム』でもネタが随所に散りばめられていたし、今回の『太陽2068』でも特に綾野くんと成宮くんの掛け合いが笑いどころ満載で面白かったです。)

 

 

ここから先は私の解釈ですが、結がノクスを選んだ理由は、キュリオの弱さと限界を感じたためだと思ってます。

 

キュリオ(すなわち今現実に存在する人間のことだと思いますが)は、豊かな感性を持っていますが、反面、感情のコントロールが利かなくなりがちです。怒りや憎しみに対しては時に暴力で解決しようとします。また、思い通りにならない現実の原因は常に外部に求め、自分たちで行動を起こすことはしない。

 

例えば、村の若者の一人、拓海は常に結に欲情していて遂には襲ってしまうし、鉄彦含む村の住人達は、村の厄介人に対して村民全員で袋叩きにしてしまう。経済封鎖されて住みにくくなったからと村を出て行った元住民たちは、移住先が居心地が悪くなると「地元が懐かしい」などと都合のいいことを言って戻ってくる。

 

キュリオが苦境に立たされているのはノクスのせいではなく自分たち自身が原因だと次第に気付き始め、聞く耳を持たず変わろうともしない周囲に絶望した結果が、ノクスになるという選択だったのだろうと。厄介者を袋叩きにする住民たちを目の前にして不自然なほどただ固まり立ち尽くす結の姿は、その絶望の大きさを物語ってたのかなーなんて思いました。

 

キュリオよりも圧倒的に理性的なノクスは、暴力が何の解決にもならないことを理解しているので常に対話を心がけるし、頭の回転も速いので現状を打破するために何をすべきかがすぐに思い浮かびます。ただもちろん、ノクスになることで失うものもたくさんあるようです。太陽、感性、血縁・地縁への愛着、母性・父性などなど。ノクスは合理的な行動選択しかしないので、例えば子どもなんかも、ノクスにとっては愛の結実とかではなく、単に「ノクスという種の生存のために必要なもの」でしかないんですよね。

 

それって「人間」としてどうなのかなと思いますが、それでも結はノクスを選んだのだから、相当堪えていたのでしょう・・・。

 

果たして結はノクスの世界で幸せになれるのかな。鉄彦と森繁の視点で見ると、多分この物語はハッピーエンドですが、結の視点で見ると、ハッピーエンドとは言えない気がします。きっとノクスの世界でもまた、自分の思い描く理想と現実との齟齬に苦しむんじゃないかなーあの子(泣)

 

 

さて、そんな結ちゃんを演じたあっちゃん、そうそうたる俳優陣にしっかり馴染んでいました。「生田結」としてそこに生きてた。「女優・前田敦子」に対する業界人からの評価としてよく目にしていたのが、「何にでも染まれる」「無色」というような表現だったように思うのですが、その評価が何となく分かったような気がします。早い話、ぎこちなさや演技っぽさ、違和感などが無い。

 

そして初舞台にして本当によく体を張ったなという印象です。男性と激しく揉み合いになったり、叫びながら舞台上をのたうちまわったりと、本当に熱演でした。それにしても、まさか舞台上で真っ裸の男にレイプされて、伊藤蘭さんとガチでキスするなんて思わなんだ(汗)もちろん、される側のあっちゃんだけじゃなくて、する側のお二人も体張ってらっしゃったわけですが、アイドル上がりの20そこそこの女の子でしかも初舞台となると話は違うと思うのですが・・・演出陣恐ろしい(笑)

ただ同時に、ああいう演出をつけてもらえるということは、しっかり「女優」として扱ってもらえてるということでもあると思うし、そういう意味では嬉しかったです。あっちゃん云々というより単純に場面として直視出来ないほど生々しかったですけど(笑)

 

偉そうに課題を挙げるとすると、声の大きさだと思います。後半徐々に良くなった感じはありましたが、やはり舞台慣れしてないせいか他の出演者より圧倒的に声量がない。特に感情が高まった時、まくしたてるように言葉を発する時には、セリフが聞き取りづらいと感じたことも何度か。あっちゃんはもともと口の動きがやや小さめなので、早口で大声を出そうとすると言葉が潰れ気味になるのかなと。歌と同じで稽古と経験を積めば良くなると思うので、今後に期待です。

そういえば、舞台での激おこぷんぷん丸なあっちゃんを思い出してたら、『大声ダイヤモンド』のMVがふと頭に浮かびました。懐かしい(笑)

 

最後に。ノクスになった結が再登場したときは、その美しさに思わず息を呑みました。キュリオの間は、生活水準も低い農村なので薄汚れた白いワンピースの中にステテコ?のようなものを着ていて、髪もざっくりとしたポニーテールでした。そういえば衣装は、キュリオが白メインでノクスが黒で統一されていましたが、太陽の下で生きるキュリオと夜に生きるノクスの対比を強めるためだろうと思います。

ノクスになった結も、ワンピースが白から黒に、形も少し裾が広がった感じに変わりました。それに加え髪を下ろしたことも相まって、結は村の小娘から一転、艶やかな雰囲気の女性になりました。本当に綺麗でした・・・。あっちゃんが自己管理の鬼であることはファンなら周知のことですが、姿勢まで含めたスタイルの良さは健在でした。

 

 

こんな感じで、アイドルのあっちゃんに会うことは叶わなかった私ですが、女優前田敦子には、彼女の初舞台という最高の形で会うことが出来ました。「自分が後輩たちの手本にならなければならない」とAKBを卒業したあっちゃんは、今確実に、思い描いていた道を進んでいるように思います。

 

熱演を終え、伊藤蘭さんと二人で最後から2番目という順番で舞台に戻ってきて、誰よりも深々と頭を下げ、充実感と自信に溢れた表情で何度もカーテンコールに応える姿に、思わず涙がこみあげてきました。

 

「アイドル前田敦子」を画面越しとはいえリアルタイムで応援してこれたことの幸せを感じると同時に、一人の女優として舞台に立つ姿に感動し、そして改めて「女優前田敦子」に魅了されました。

 

※本当はもっと他の俳優さんにも触れたいし作品自体も深く考えてみたいのですが時間の都合上この辺で・・・すみません。